作家さんの講演会に行った記録。

角田さん
この前、大阪梅田にて角田光代さんの講演会に行って参りました。
失礼ながら、角田光代さんの小説は短編以外読んだことがありませんでした。
けど、小説を書き続けている人から何かヒントを得たいと思っていた私はネットで検索して、ヒットした直近の講演会に行くことにしたのです。
予約制だったので、予約してから角田さんの小説を読み始めました。
八日目の蝉や、紙の月が映画化もされ有名な作者さんです。それら重厚な作風だけでなく、日常を描いた話や、エッセイもたくさん描かれている方です。
読みやすそうな、それもまた小さな光を読ませていただきました。
ラジオを通して描かれるお話で、ラジオ好きな私としては当たりでした。
日常の微かな幸せに気づく、とてもいい読後感です。
毎日淡々と仕事ができたらいいなあというデザイナーの主人公、それの幼馴染との関係、過去の人が捨てられずにいる主人公の友人、主人公が尊敬している女性も不倫をしている。
あと、もう1人の主人公が毎日どーでもいいことを話すラジオのDJ。
最初の方では、みんな過去に囚われてました。でも、少しずつ前に進んでいきます。
ご都合主義ではなく、微かな希望が持てる話なので、とても心情など共感もててリアルです。
角田さんの講演会で語られていたことを、本書を読んでしっくりきました。
角田さんはすごい作家さんですが、書かなくなったときもあったそうです。
自分で言うのもなんですが、人間の嫌なところを描いたお話がありますと語られました。
角田さんがお話を書こうと思うきっかけは日常のもやっとしたことや、違和感から来ることが多いみたいですね。
立場が違う女性らの埋まらない溝から、とか。
でも、とある書評から書けなくなったそうです。
人間の悪い部分を描いた。確かにすごい――で? と。

この、「で?」っていうのは、私もぶつかったことあります。
どうして、これ書いたの。なにが言いたいの。確かに、小説になってるけど、で?
私はこの書評もきついなあと思いました。
けれど、角田さんはまた別の方からの言葉でヒントを得たようです。
「小説は希望を書かなくてはならない」
物語には何かしら、救いが必要なのです。
私も聞いたことがありました。それは物語の流れ的な表面的なものとしてとらえてました。
けれど、この日角田さんの講演を聞いて、また、小説を読んで、心にすとん、と落ちました。
私が物語を書けなくなったのも、希望を想像できなくなったからかもしれません。
心が疲弊して、可哀そうな人たち、環境、もがいている人らは浮かぶのに、救いが見いだせない。
私は、今、そうなのかもしれない。

また、角田さんはキャラは動かないとおっしゃってました。
私も全くもってキャラは動きません。
動く人もいます。
そういうとき、どうするか。読み手がそのひとつの台詞で、色々捉えることができる台詞を「考える」のです。
それはそれは大変な作業です。
でも、仕事部屋を持っている彼女は9時17時仕事すると決めているので、それが終われば解放されます。
出勤して、小説を書くのはいいなあと思いました。

小学校の頃にはすでに小説家になりたいと思っていた角田さん。
大学へは小説を書くための勉強さえできたら良かったので、あとは演劇ばかりしてました(笑)と語られてました。
そして、大学行って、賞を受賞し作家デビュー。
就活もしてなかったし、危なかったとおっしゃってました。

他にも、旅の話や、マラソンの話、猫の話、とある作品のネタが降ってきた瞬間の話など、笑いを混じりながら話てください、あっという間の二時間です。
そして、終わったらサイン会と写真撮影。
ひとりひとり、丁寧にサインを書いて、立って写真、また座ってサインと、大変だったろうと思います。
私もいただきました。
本物の作家さんを近くで見たのは初めてでした。
とても華奢で、穏やかな感じです。
でも、作風は感情的で激しい。

また、角田さんは締切をちゃんと守る作家さんみたいで、計画してちゃんと締め切り前に仕上げます。
ところが、嘘締切というものがあるそうで、この作家さんは早いから、早めの締切を言って早く仕上げてもらおうみたいなことがあるようです。
本当の締切を知らないこともあるそうですね。
ただ、今源氏物語の訳をやっているそうで、これは大変苦労されているようです。

作家の乙一さんもおっしゃってましたが、単純に締切前から逆算して「起承転結」で割るみたいですね。
この時期までに起、を書いておかなきゃ、みたいな。
長編はやはり一年はかけなくちゃいけないのかも。
公募ガイドにもそんな計画表が以前、載ってました。

私も真面目に書こう、と思いました。

小説を書くきっかけは、物語の中だけでも救いを描きたいからなのです。
そして、それを読んで、誰かが少しだけいい気分になってくれたら、私も本望だと改めて思い出しました。

ユニークな角田光代さん。
私はすっかり、彼女のファンになりました。
行って、良かったです。
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