みんな本当は泣き出したいのだ。

部署は違えど高瀬が入社してお世話になった人とはお昼一緒なのだがその人が静かに泣いていた。高瀬は泣いているとき気付かなかったが今日はお昼から来られた方が目が腫れているのに気付き「どうしたの」と聞いていた。悲しいことがあったのだ。
高瀬の中では彼女はとても強い存在であった。大人ってこうだよな、と心底思える人だった。理性的な意見をいつも言ってくれし気遣いがさりげなくだし、けれど威張っている感じなどどこにもないさっぱりした人であった。そんな彼女が泣いているのは悲しいことのように思った。人はみんな弱い。ちょっとした不用意なことでこけてしまうバランスの悪い生物だ。彼女の場合、歯を食いしばってがんばってきた。けれど今日は家の階段でこけてしまったのをきっかけに、涙が出てきてしまったのだ。細い体に紫のあざをいくつも作っていた。仕事とは関係ないこと。
 けれど、あるよなぁ。そういう不幸が重なりもうどうしようもなくボロボロになり恥ずかしいが泣いてしまう話。高瀬はできたら人前で泣きたくない。涙腺弱いが隠したいタイプだ。
けれど今日の昼休みは彼女の話をきくうち涙が少し滲んだ。うまくいかないことって多いよな。
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