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俺の朝。

眼の下のくまがいつもより濃い。
ともすれば殴られたかのように青黒い。年齢、26歳の顔じゃないなと思った。
とりあえず、出勤するためには、一晩で伸びる無精ひげをカミソリで適当に剃って、天パが入ってくるくるとなった髪をなんとかなだめなくてはならない。洗面台の鏡のまわりにはごちゃごちゃとワックスがいくつか並んでいる。
それのハードタイプの紫色の容器をとった。ワックスでごまかせるのかはわからないがとりあえず、やらねば。
「……にい」
なんとなく笑ってみる。
手にクリームをとって、前髪を後ろにやってみた。額が出てイメージが変わる。
ほうれい線ってのは笑わなくてもできるものなんだな。
疲れた顔をして何をそこまで頑張っているのかね、俺は。

出勤前の鏡の自分との自問自答。
固まってしまう前に、前髪を指でいくつか戻して、後ろのはねをなでつけたりする。
よく乾かさないで寝ればいつも朝はこうだ。
おまけに酒くさい。

歯ブラシを手にとり、たっぷり歯磨き粉をつけて口に含み乱暴に磨く。
三回くらいしか歯ブラシの場所を動かしていない気がするが、朝は胸やけがするので「おえええ」とえずき、それどころじゃない。ミントの味を感じるだけで条件反射のようになっている。

歯をみがき、顔を水で洗い、ひげをそって「なんとか外出できるレベルの俺」完成。
もう一度、笑ってみせる。
あまり、かっこよくなってない。疲れていることには変わりないか。

洗面台から移動して、転がっている缶ビールやらカップ麺のごみをよけて斜めでハンガーにかかったスーツのパンツをとり、はいてから、チャックとベルトしめる前に白いシャツを着る。
パンツは足元までずり下がってシャツのボタンをしめる様は人様にみせられるようなものじゃないがいつも順番はこうだった。先にシャツを着てからパンツにすればいいと思うのだが、気付いたらいつも同じことをしている。
スーツに着替えてパジャマやら靴下やら落ちている、いや置いてあるベッドに腰掛ける。
開いた両足に両手を置いて頭を垂れる。

朝ごはんは食べない主義だ。そして今は便意を待っているに過ぎない。

「あ、結婚しよう」

そして、最後に俺は散らかった部屋でそうつぶやくのだった。
トイレを無事にすませて、カーテンレールにかけてるハンガーからネクタイを取る。
青と黒のストライプで地味な奴。

カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。
慣れた手つきでネクタイをしめると、「それなりの俺」が完成した。


おわり。
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