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凍りついた香り

今日は朝から雨がしとしと降り続いていたが家の掃除機をかけてから母と出かけた。お店内でやっている千円均一を目当てに行ったが大して欲しいものがなく何も買わなかった。買ったのは食料と本と。
今回は買いたい目的のものがなかったが母の誕生日が6/9だったので本をねだられ辻仁成さんの新作「幸福な結末」を買うことに。何でも映画化されるらしい。おもしろそうな内容であったがそれよりも高瀬は小川洋子さんの「凍りついた香り」(幻冬文庫)を読みふけっていた。今日で読み終わってしまった。
タイトルの通り“香り”にまつわる話だった。この話に関らず小川洋子さんは香りにまつわる描写が多いような気がする。読んでいるうちに色々な香りが想像できた話だ。ストーリーはというと理由も不明に自殺した恋人の過去を主人公の女性が探っていくうちに知らなかった彼の姿が現れ始めて行く・・・という話。この作品は三つの場面が段々進んでいくという構成になっている。一つは主人公涼子と恋人弘之が日々(自殺する片鱗がなかったか思い出そうとしているのだ)一つは弘之が数年前プラハに訪れたことがあると解かり彼のフロッピー内のメモを頼りに何か彼の死に関る事がないか旅をしていく、一つは弘之の弟(弘之が死んで初めて弟がいたのを知る)と共に涼子にとっては初めて訪れる彼の実家に何かないかを探す場面・・・物語の最初弘之という人物には背景というものがなかった。設定としては香水を作る調香師の仕事をしていること。にしても小川洋子は白衣の男性が好きだなぁと思う。きっと理系の男性を描くのが好きなのかもしれない。弘之の過去には数学が深く関っていた。
 読み進めるうち弘之という人物がわかるようなわからないような奇妙な感覚に陥る。しかし終わりまで読むと彼はかわいそうな天才だったのだと思った。天才、と称される人はどこかつかみきれない空気をまとっている。自殺の理由もなんとなくわかっていく。
最後、弘之が家出した後勤めていた盲人学校に涼子と弘之の弟が訪れて終わる。なんだかいつも小川洋子さんの話の終わりには物足りなさを感じる。今回どちらかが消えるようなオチではないが本当に静かな終わりだった。しかし、その最後のシーンを目に浮かべてみるとなるほどこの作品にはこのもの静かな終わりの方が良いような気がした。
そろばんをはじき宿題の計算をする少年にそっと近寄る弘之の弟、彰。「繰り下がりの計算だね」というと誰かも訝りもせず頷く。彰はおはじきを動かす。夕日に染まる床に伸びる影。そして二人を呼ぶ子供達の声―――。
 切ない余韻が残る話だ。小川洋子は癖になる。
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