世間には残念な女子がたくさんいるけど関わるのはごめんだ その4

朝の呼び込み、では依頼者は来なかった。
そりゃそうだ。誰が好き好んで自らを羞恥の中心に飛び込ませる奴がいる。
俺はもう高校生活終わった、と思った。

ところが、案外、高校生というものはバカなことが好きなようで昼休みに僕の携帯にメールが入った。
知らないメアドだった。最近、なぜか情報がだだ漏れである。
まあ、個人情報保護法がうんたらとか言っているが「○○君のメアド教えて☆」と言えば「うん、いいよ」と知っている奴が教えてしまうのは致し方ない。高校生が保護法がうんたらで教えることができないと言うわけがない。
しかし、教えた奴を呪いたい。

一応中を開けてみる。

件名:恋愛相談したいです。

本文:好きな人がいます。告白をしたいのですがどうやったらいいか相談にのってください。
   放課後、2-3教室にいます。

うちの学校は結構大きくて、一学年6クラスある。そして僕と八千草は2-6だった。最初の依頼者(ひやかしかもしれんが)は同じ学年だった。
八千草に言うと、「うおおおおおっしゃああああっ! 最初の仕事ゲットおおおっ!」
と異様にテンション高くなったので、これでひやかしだったら、そいつボコられるなと思った。

× × ×

放課後、教室に行ってみる。なかには何人か残ってしゃべっている奴もいて、どれが依頼者だろうかと思ったがその中の一人が手をあげたのでわかった。
「じゃあな、俺ら帰るわ!」
一緒にいた男子生徒がにやつきながら帰っていく。
やはり、冷やかしか?
八千草は気にせずそいつの机に近づいた。プライベートも何もあったもんじゃないが、そいつがここを指定したのだ、ここで相談を受けるようだ。
前の席に腰かける。
八千草は肩にかかった髪を手ではねのけてから、足を組んだ。
「名前はなんていうの?」
いきなり八千草が聞いた。そういや名前を知らない。

「俺の名前は枕崎修平。なんか恋愛相談のってくれるんだろう?」
「ええ。お相手は誰なの?」
「……言わなきゃダメなのか?」

そいつが顔を赤らめた。もじもじしだしたので、僕は窓の外を眺めた。なんか面倒なので家に帰りた――。
「へぶしっ……!?」
いきなり八千草の足が後頭部に炸裂した。文字通り、足が後頭部に!
僕はよろけて、床に両手をついた。
「おまっ、ちょっと、何をする!? パンツ見えてんぞ!」
回し蹴りをしたそのままの姿勢でとまっている彼女。彼女は偉そうにいった。
「大丈夫、これブルマみたいなやつだから。それより枕崎君だっけ? ちゃんと依頼内容言わないとこのようになるわよ」
「わかりました、言います言います。お相手は4組の山田紀子さんです」
「なんか一瞬で頭から忘却されそうな名前だわ」
「お前と比べたらな」
ぼそっと突っ込むが八千草は気にせず席に座りなおした。
僕は名前を聞いて思い出した。山田紀子と言えば図書委員の子だ。おとなしそうなメガネをかけた……え?
「お前、無理だろう。なんか色が違うし」
「そうね。なんていうか、あんたヤンチャ系だし」
「髪が茶色いし」
「ピアス穴あるじゃない」
「アホそうだし」
「バカそうだし」
「ボケ」
「カス」
「マヌケ」
「死ね」
「後半から俺の悪口になってるんですけど!? 泣くぞ! え、泣くぞっ! 死ねってなんだよ!?」
「思いつく限りの罵詈雑言を言ってみたくなったのよ。まあ、とにかく作戦を練りましょう。告白したいのよね?」
「ああ。だがあんたらの言うように俺と彼女はなんつうか釣り合わない気がするんだ。ふざけている、って思われるかもしれないだろう」
「そうね。わたしも未だに信じられないわ。なに、メガネに弱いの?」
「かしこそうな、清純派に弱い」
『ああ、なるほど』

僕と八千草は納得した。山田紀子は確かにかしこそうな清純派だ。こいつだけじゃなくて他にもファンがいそうな気がしてきた。図書委員ってのもポイント高い気がする。オタクっぽいがな。

八千草はにやりと笑みを浮かべた。

「相手は文が好きなのよ。手書きラブレター作戦でいきましょう!」
「今時ラブレターかよ」
「携帯で簡単に予測変換で好きです、ラブです、って書くより自分で一から考えるラブレターの方が効果的よ。文章に弱いはずだからきっと、ぐっとくるはず。一緒に考えましょう」
「お、おうっ!」

一緒に考えるのか面倒だなあと思ったが顔には出さず「早く考えようぜ!」と笑顔で言った。
僕は早くこの茶番が終わりますように願った。


つづく。
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