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タイムマシンにのって【終わりと始まり】2

トキコへ。

久しぶりに人に向けて手紙を書いています。
どうして、いまどきレトロな手紙なのか。そしてどうして未来の君に向けて書いているのか。
理由は簡単で、僕は法律で禁止されている「未来」をこの目で見てきたからです。
君はわからないようにしているつもりだっただろうけど結婚に心底、踏み込めないでいましたね。
きっとそれはご両親の死をまだ乗り越えていないからだと思います。
だから僕は確認するために未来へと飛びました。

で、僕は今本当は迷っています。先ほど、未来をみてきたばかりです。
そこで結婚はしていなかった。それどころか僕は死んでいた。
確かなのは君がピンチだったということと君は自分を殺してしまおうとしていたこと。
しかし過去の自分が死んだら君は消えてしまいます。
そしたら君と僕は会えません。

それは嫌だ。

僕は君と出会える瞬間を捨てたくないから過去の君を守りました。
君は苦しまなくていい。
僕が選択した未来だから君のせいじゃありません。

ありがとう、トキコ。
また、来世で会おう。



アキラ。




短い手紙だった。
日付は結婚式前日だった。そしてそのまま帰ってこなかったのは彼が私に殺されたからだ。
弁護士が言うには今日ここへ私あてで届いたらしい。過去から日付指定あったのだ。筆跡も彼のものだった。
私は檀上で知らず、涙を流した。

アキラのご両親も涙を流して泣いていた。
そして彼らは私に最も重い刑を希望していたが取り下げると言ってくれた。

そんなことが許されるわけがない。
私は決意した。するとすべてが納得いった。

「裁判長。私は最も重い刑を希望します。被害者の遺族が希望した刑です」


きっとこれは最初から決まっていたことだ。
被害者の遺族は私に希望していたのは死刑でもなく、過去へ飛んで自分たちと同じように最愛の人物を殺すこと、だった。私の最愛の人、つまり両親だ。
私の両親を殺したのは私。
最初からあらすじは決まっていて何も変えることすらできない。
過去へ行って自分を殺そうとしなければアキラは死ななかった。
両親が死んでいなければアキラとの結婚に何の疑問も抱かず自分の幸せを願った。
そもそもアキラとも出会わなかったかもしれない。
アキラはもっと素敵な人と出会って子供ももてたかもしれない。

いいえ。
ニュートリノが発見されなくてタイムマシンがなくても私はアキラと出会ってしまう。

『来世で会おう』

アキラの手紙の一文が心に響く。
そういう運命だけは素晴らしい……。



つづく。
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