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彼女だ、とすぐにわかってしまった。

 彼は昔から・・・・・・物心ついた頃から同じ夢を繰り返し見ていた。
さまざまな女性と付き合って幸せなときを過ごす。そして決まって最後には相手を愛するあまりに殺してしまうのだ。
この夢のことを不思議に思っていた。けれど手に残るリアルな感覚から自分には殺人願望があるのかと疑い誰にもこの夢のことを話さずにいた。
そして、なんとなくだが。
これは自分の魂の過去ではないかと直感的に考えるようになる。
つまり前世の記憶ではないかと。

ということは運命的な人に出会うと狂気的なほど相手を慕うようになり殺してしまうといった末路を辿ることになるのだ。幾人もの相手を自分は手にかけて生死を繰り返している。
穢れた魂なのだ。


△   △   △


――彼女だ、と直感的に悟った。


 夜の人気のない水族館。水槽の中からもれる明かりにぼんやり青白く照らされた彼女の横顔はどこか寂しげで儚げでもあった。
 自分はといえばこれまで、なんの運命も感じない女性と付き合ってきた。あの夢の運命を恐れていたのだ。
でも、いつかはこうして自分の目の前に現れるとは思っていた。
 手に汗が滲む。逃げなければならない。今夜のデートをすっぽかされたことも運命のような気がしてならない。

 長い黒髪の細身の女性がこちらを向いた。水槽の中を悠然と泳ぐ魚たちのように感情を表さない。

「こんばんわ」

小さな声だが耳についてしまえば無視できない。駄目だ、どうして現れたんだ。

「こんばんわ・・・・・・おひとりですか」
「ええ。時折、ここへ夜に来るの」

話してはならないと考えるのに彼女の黒い瞳から目が離せない。
鼓動が早くなる。今まで誰にだってこんな気になったことはないのに。

「さびしくは、ないですか」
「――少し、寂しい気になるのがすきなの。寂しすぎると死んでしまうかもしれないけれど」

そう言って彼女が微笑む。冷えた心を冷えすぎないように抱きしめたいと本能的に思った。

助けてくれ。
誰か、彼女をこの目の前の穢れた男から引き離してくれればいい。
そうしないときっと――。

「一緒に歩きませんか」

手を差し出す彼女。
赤の他人にこんな態度を示すような女性なのか。いや違う。彼女も同じく運命の糸に絡まってしまったのだ。
それは誰かの意図的なもののように。

 彼は彼女の白い手をとった。

とってしまったのだ。






拍手お礼

7/17 7:00の方。

7/24 8:00の方。

7/29 1:00の方。

8/11 15:00の方。

8/13 19:00の方。

8/19 0:00の方。

8/31 20:00の方。

9/3 0:00の方。


またもやお返事たまってしまいました。
ありがとうございます。
上の文はお礼となっております。


稲葉さんのソロアルバム買って「不死鳥」という曲をきいて帰りの車の中で思い浮かんだ景色。
この曲もいいけど「今宵キミト」って曲が最近お気に入りです。
ところで今回のアルバム「闇」って単語多い気がしないでもない?
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