面倒くさいの呪縛

面倒くさい、があたしの口癖。
 ふ、とした瞬間。つい口から出てくる。
例えば、ゆで卵の殻を向いているとき。母に言われて買い物に行かなくてはならなくなったとき。友達が泣いているとき。彼氏から眠る前に「今、何してる?」っていうメールが来たとき。

基本、薄情なあたし。全てこの世のしがらみから逃げ出したいときに出る魔法の言葉。面倒くさいなあで脱出できるわけじゃないのに、私の口から飛び出していく。

彼氏にそれが理由で別れ話を切り出した。
付き合うの面倒になった。
それを言うと彼は顔を真っ赤にして、

「あのなあ、この世は生まれた瞬間から面倒くせーことばっかなんだよ。お前これからどうすんだ、しまいには呼吸することすら面倒だとか言い出すんじゃないのか。
 てか、それでいいのか。怒るのも泣くのも笑うのも面倒になっていくぞ」
「うん、そうね。生きていくのって大変なこと知ってるよ」
「馬鹿、お前はなんにも経験しちゃ、いねーよ。恋も知らなければ、自棄になることも、自分の限界を知ることも、恋以上の愛の先に何があるとか知らないまま、独りで死んでいく可能性大だな!」
「・・・・・・」

孤独死。想像したことはある。だって、あたしはかわいくないし。
面倒くさがりだし。
そうね、こいつの言うとおりだわ。
きっと死ぬときは独りね。

「おい、泣いてんじゃねえよ・・・っ、お前から別れ話切り出したんだろうが、面倒くせえな」

彼氏はおろおろとしていた。
面倒くさい女。
自分でも、そう思うよ。

「いい奴ね。あんた。やっぱり別れるの、やめようか」
「どっちなんだよ」
「面倒なあたしに付き合えるの・・・あんたくらいかもしれないから、ね」

人と一緒にいるって面倒なのが普通なのよね。

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